「王子!!?」
 ダァン!! と開かれた扉に、肩をすくめた。―――――悟った らしい。


「エルカベイルはどうした?」
「国王陛下、大変申し上げにくいのですが…………こちらを……」
「これは、エルカベイル様のお部屋にあったものだそうで……」
「なぁに? 私(わたくし)に隠れていたずらの相談?」

がさがさ…………ぺら……

ぐしゃぁ!!

「あの大バカ息子がぁ!!」
 べしっっ!! っと床に紙を叩きつけた。
「レランとセイジュをつれて来い!!」
「はっ! はいぃ!!」
 大臣は老体に鞭打って走った。兵士のいる入り口まで。

「まぁまぁまあ。」
 王妃は、床に叩きつけられた手紙をもう一度読み返した。


【拝啓 父上・母上

 広い世界を、学び見たいので旅に出ます。数年は帰りません。

追伸  捕まらない自信はありますので、税金の無駄はしない
ように。俺が王になったとき、財政難では話にならない。

 それでは、あまり興奮しすぎないように。早死にしますよ?

 エルカベイル・ビオレドラル・エルディス】



「殺す」
 ぼそっと王は呟いた。
「物騒ですわね。」
 では私は見学で。



「「国王陛下」」
「なぜ呼ばれたかわかっておるか。」

「「…………」」
 一人は、よくわかっているし、もう一人は、すでに理解していた。

「あら、レラン? いつ帰ってきたの?」
 王妃は声をかけた。

「さきほど」

「セイジュ。お前が一番、かかわりが深いのか。」
「えぇ!!?」
 レランは外に、あとの護衛も皆王都にはいない―――――

(王子〜〜〜)
 セイジュは泣きたくなった。――――はめられた!!

「で、護衛の任をいつ解雇してほしい?」
 もう終わり? 俺の人生?

「…………冗談だ。お前のような剣士を他国にやるのはおしい。」
 だから心臓に悪いんだよこの家族―――――遺伝?

「向かう先は?」
「存じ上げません。」

「言うはずがないがな。」
 国王はゆっくりと玉座に座った。

「…………いいだろう。今は、な…」

 周りの兵士、大臣、侍女、自分。皆明らかにほっとしていた。
――――……一人、納得していないのがいるが。



 早足で、廊下を進む者。

「おい!! どこ行くんだよ!!?」
 訊(き)くのは愚問というものだ。

「追う」

 訊かなきゃよかった――――

「そうだわ! レランにセイジュ!」
 後ろからかかった声にさすがのレランも、足を止めた。

「オークルも連れて私の部屋まで来て頂戴。」

「ほら!! 王妃様のお呼びだ。」
 どうにか、城の外に馬で駆け出すのは防げた。



「王妃様。エルカベイル様の護衛の方々が。」
「通して頂戴。」

 入った部屋は、王妃自身の自室だ。カーテンをよけたすぐが、 王妃一人の謁見の間になる。

「あなた達はもういいわ。」
 俺たちが入ると、王妃様は侍女頭以外を部屋の外――――声 の聞こえない所に追いやった。
 正面に並んでひざをつくと、満足したのか顔を上げろと言われる。

 にっこりと、満面の笑みだ―――――――何かある。直感的に 悟った。

「あなた達には、私のおもちゃを探してきてほしいの。」

「「「………は?」」」

「だって、あの子このままじゃ、お相手の一人や十人。見つけて こないでしょう?」
 もうすぐ二十歳にもなるのに。

…………十人?

「あの王妃様? この国では王の后はお一人しか取れないのでは?」

 ――――さすがだなオークル、俺はそんな無駄な質問はしないぞ。

「だって、あの子はまだ“王子”でしょう。」
 王子妃は何人でもいいと?国王は側室を取れないのに?

「まぁほら、用意してあれば文句は言わないでしょうし。」
―――――決定ですか!!?

「それに――――」
 王妃は一度言葉を切った。

「連れてきたら連れてきたで面白いわね。」
 ふふふ。と、楽しそうに笑う。

―――――逃げ出してぇ!!!
 セイジュは後ろに視線を向けた。…………王妃様が視線をそら した一瞬に、レランの突きを食らわなければ……


「そうね、やっぱり見目麗しくないと。あとは…………おとなし めで行きましょうか。」
 自分の希望を言う王妃。

「一人一個ずつ推薦よ。」

「「「え゛!!?」」」
 “個”?ってか推薦?


ザッ!!
 突然、レランは立ち上がった。――――振り返り、部屋をあと にしようと――――

「レラン、追う事は許されないわ。」
「王妃様の命(めい)は受けません。」

「何を勘違いしているの。あなたの“主”の命でしょう?」
「………………」

「期限は、――――そうね。一年よ。」


 王妃の“人形探し”が始まった。(セイジュ談)




あとがき
そんなわけで、どんな?
大バカ王子の城出。前タイトル候補“城出”
国王が頑張っても活躍しない!!(汗)
わかりますよね?ここから「出会い編」につながります。時間としては、少なくても四ヶ月後ぐらいにしたいんですけど。
何から脱出って、王妃??



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