〜出会い編5〜歩く


「ん〜〜〜ん?」
 起き上がって、見ると、反対のベッドに寝る人物。
(そうか、昨日…………)
 初対面のやつと同室にされたのだ。
(…………着替えよ。)
 眠っている。絶対にこちらを見ないように警戒しながら、寝 巻きのワンピースから着替えた。


 布のこすれる音と、こちらに絶えず向けられる視線に、振り 返るのは得策ではないと悟った。
 ずっと起きていた。いや、少なくても女が起きる前には目が 覚めていた。


 しずかに扉が閉じられて、女が食事に向かったのを確認して 起き上がった。

(…………そうか、)
 起きたくなかったのか。
 この部屋に、ひとりなって思った。

 朝が来るのを、呪ったのは初めてだった。




「おはよう。よく眠れた?」
「もちろん。おかげさまで!」
 満面の笑みで、会話する二人。食堂を、木枯らしが通り抜けた。
(二人のいるところ意外。)

「今日はどうするの?」
「次の町に行こうかと。」
「もう?」
「ええ、まぁ。」
「ノット? ツキシア?」
「ん〜〜〜………」
「おーーい! ネージュ!!」
「はーーい!! それじゃぁ、また!!」
「うん」
 結局、どちらかは言葉にしていない。ひらひらと手を振って、 席に着いた。―――――四人は座れる席についたことは、偶然?


ガタ!!
 前の椅子が引かれて、男が座った。

「「おはよう」」
 同時に言葉になったので、戸惑った。――――そして、笑った。

「食べるな………」
 朝から。すでに、三人前はある。
「おごりでしょ?」
「は?」
「だって、昨日。」
 女は意味深にまた違う笑みを向けた。
「…………」
 この確信犯。昨日の食事代はチャラになったことを知っているようだ。

「…………今日もチャラだろ。」
 言うと、目を見開いて驚いた。――――こっちが笑ってやった。

「――――なるほど。」
 そう言って、女はまた注文した。




 案の定食事代を踏み倒して。(え?)二人は街道を歩いていた。 なだらかな道は、道沿いに、青い葉が茂っている。麦か、それとも。
 並んで歩いているだけで、別に会話があるわけじゃない。時々す れ違う町の住民。流れる風。男の長い髪をなびかせて。


 振り返っても、町は見えない。



「……………」
 歩き続けると、道の先が分かれているのが見えてきた。
 左に少しそれる街道。右には、森が見える。

「「…………」」
 無言だった。二人とも。
 見下ろすと、女は前を見ている。

 歩く早さは変わらない。

 近づいてくる、二つの道。

「…………」
 分かれ道の手前で、止まった。あと一歩進めば、右か左か 決めなければならない場所で止まった。

――――男は、左手に、女は、右手に歩いてきていた。

「――――!!!???」

「? ――――どうかした?」
 突然、歩くのをやめた男を、女は振り返った。…………一歩 進んだ。左の街道の先で。

「…………」
 男は、小さく笑った。

「街道は嫌いなんじゃないのか?」
 足を、左に進めて。

「“森”が好きなの。別に街道が嫌いなんじゃない。」
 女はそう言って、先に進んだ。

 少し早足で追いついた男が、こっちを見ないで言った。

「カイル」

 言葉に反応して、女が見上げて言った。――――目があった。

「……リール」


 そのまま歩き出した。ノットについても、それからも。


あとがき
ということで。まぁ、不思議な出会いを書きたかったのですが………こんなことに(汗)
何かに、なんとなく惹(ひ)かれて、二人は一緒に旅を続けると。
特別何か事件があったんじゃなくて、普通に旅しているところで、なんとなく惹かれたというところを目指したんですが………。
なんだろうか……
この時点で二人の関係は、“何かでつながっていると感じている”ところを目指しました。
まぁ、そんな感じ。(………どんなん?)
しかし、カイル!!あんた気が変わるの早くない!!?
最後は展開が早かったな〜〜……リールもね、なぜかね。



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