一人旅 〜利用〜


「王。伝えてまいりました。」
「悟(さと)られなかったか。」
「…………ミガユールで船に乗りました。」
「……………そうか。」

 セイファートはタキストの報告を静かに聞いた。あれからセイファートはタキストを近くに置いている。リールとの約束。見張るなら身の近くに置くほうが簡単だ。


「あの娘――………エアリー・リールは、ラビリンスの用意した“鍵”だ。」
 セレアを見つめていた視線を外すことなく言い出す。下がる事を許されていないタキストは命令の深意の一端を知った。

「しかし、今のあの娘の地位では準備は出来ても、実行は出来まい。それがラビリンスの懸念の一つだ。」
 そう、問題はそこだ。
「だからあれを向かわせる。あの男なら権力的地位は確立している。――――――よかったな、エルディス国王は后一人しか取らない決まりで。これで王座を争って兄弟争いなど起これば、面倒な事になる。」


「これで、計画は実行に近づく。」
 ふと落とした視線はタキストに痛いくらいだったが、本当に痛かったのはセイファートだ。


「――――――我等には時間がない。時は、動き出したのだ……。」


(………………だが、……一番つらくなるのはお主だ。――――ラビリンス――――)


 セイファートは、何処までも繋がる空の先を、

―――――――――悲しそうに、見上げた。



Back   Menu   Next