リール一人旅〜終了〜


 夕食は、当然のごとくセラセニアが文句を言ったが、それしかないとあき らめると口にした。そして、邸の料理よりおいしいとラバリエを称賛(しょ うさん)した。

 実は今までの態度ほど、セラセニアはわがままでもないようだ。ただ、不 安だったり、恐ろしかったりしていたのだろう。なにより、父親に捨てられ ているようなきでいるのだから。強がるあまり態度が傲慢になったのだろ。

(あんがい普通かも?)
 リールは、セラセニアを少し見直した。そして、センとレステッドもセラ セニアに接する態度が柔らかく なっている。
 それはそうでしょうよ。温泉での会話が聞こえる位置に潜んでいたんだか ら。先に着替えたリールは、二人に視線を送り、先に戻るように促(うなが) した。



 食事の後は男共も温泉に入ることになり、一人ずつ交代で向かった。時々、 誰か(主にレステッド)が話を始める以外は静かなものだった。明日早く 出発する事として、早めに就寝を迎えた。その間は交代で見張りだ。馬車の 中にリールとセラセニア。後は外に寝る事となった。危険なので焚き火は消 した。

 リールは交代の見張りを一番初めにすることとなった。

――――夜の空、月と星明りの中。一人膝を抱くリールは、心を空(から) にした。




 次の日の朝は、夜明けとともにほとんどが行動を起こした。
 もう一度温泉に浸かりたいな〜と思ったセラセニアだが、声に出す事はな かった。狼の問題が治まれば、いつでも来られるのだから。
 朝食は干し肉と木に生る果物ですました。セラセニアは初めて食べるよう で、肉の硬さに苦戦していた。その後、すぐに出発となった。

 皆、異様な静けさを持つ森からは早く離れたかった。




 もう、狼に襲われることはなかった。なぜかはわからない。だが、その事 は喜ぶ事にした。[ネイ]の領主はセラセニアを喜んで迎え、五人の護衛に 報酬を払った。セラセニアは五人に礼を言い。リールに温泉での事は忘れて ほしいと言ってきた。話すつもりはないので、リールはお願いを聞き入れた。 (後でセンとレステッドに言うのも忘れない。)案外すんなり婚姻の話を受 け入れたなと思ったら、どうやら領主の息子は好みのタイプだったようだ。 つまり、一目ぼれ。それでいいのかナゾだが、それでいいのだろう。セラセ ニアは開き直る気のようだから。
 心配はいらない。リールはさっさと[ネイ]を後にする。セラセニアが結 婚式に出ないかと言ってきたが断った。




 後で思った事だが、エルディスを出たいがために申し出を断って出発の一 番早い船に乗った事が、間違いだった。


                    〜リール一人旅〜  つづく

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