四 Camps de Fleurs 〜花畑〜
( 十二 話 )



 私はかつて、この国の第三王子に仕えていた。――今も。第二妃の息子である第三王子は聡明で、宰相も大臣も彼が王座を継ぐことを心の底で望むように策略を計った。
 それは成功していた。少なくともあの日までは。
 聡明な第三王子はしかし――ある日王位を捨てると城を出、はたから放浪にしか見えない旅をはじめた。異変が起きたと言う噂のある森を調査したのち、町で娼館通いをはじめた。
 そして現在。私は――
「……っおはようございます」
 主人の興味関心を唯一引く、態度のでかく小うるさいが嘘のようにおとなしく、何かを感じ取るのか私に話しかける時に一瞬口ごもる娘の存在を隠し通すために働いていた。
 主人がこの娘の安否と所在を探るために王位継承者と言う立場に戻ったことに憤りを覚えているため、もともと好まない娘に対しての態度が冷たく、当たりが強いことも自覚している。主人ほど玉座にふさわしい人間はいないと思っていたので、その地位に繋がる正当な地位に戻ったことは喜ばしい。しかし、原因はすべてこの娘にあると思うといらだちがます。
 魔力を持たない私には、この娘が「まれ人」などと言う存在であるとは、わかりえないのだから。

2014.06.23
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