無 火



「ふざけんじゃないわよ!!!」
 女は、火を放った。

――――――“文字通り”である。

 “火を放った。”

 右手に生まれた炎を正面に立つ男に向かって放った。 ――――――しかし、そこは“長”というか。彼は向かってくる火を四散させ吸収した。
 この男、他にないめずらしい力。炎を吸収する力があったからこそ“長”になれたと いっていい。外見は若い。―――――中味は? …………聞いてはいけない。
 結構歳だったはず。




―――――ああ!!! ご説明がまだでしたね。というか、何の事だかもわからないでしょう。
まずは、そうですね。何から、行きましょうか―――――――――?














 このお話の主人公は“絽火(ろか)”【女】歳は十九。髪の色は、赤。これぞ赤!! って いうくらいの赤。周りが白とか黒ばかりだと、目立つね!! って色。目も赤。ただこっちは、 赤黒い感じ。イメージ血の色。髪は長くて腰に届く。本人はまだまだ伸ばす予定。

 この世界。自然の力を操る術師がいるんです。いわゆる元素。でも、少し違う。

 火 水 土 風 森 それに、少数だが雷とか。

 ここは、“火谷(かこく)”火の力を持った一族が暮らす谷。一族の頂点は“長”。 なぜ火の力が使えるか、それは、純粋に“遺伝”。
では、一番初めの術師は――――――


「ねぇ“長”。なんか言った?」

―――――――どうやら、“絽火”がしゃべりたいらしい。
 じゃますると、私が炭にされかれないのでこの辺でっ!! 続きは、 二人の会話でも聞いてやってくれい!



「…………だから、絽火。王都に行って来てくれって言ってるんだよ。」
「なんで。」
「国王陛下から火術師を一人よこせとの書が来てね。」

 ちなみにこの国は王政だーーー。

「“火谷”で一番の術師を御所望なんだ。仕方ないだろう?」

「まぁ。一番の術師が私であることに間違いはないにしても、」

―――――――え? …………ごめんなさい。

「金髪に興味はない。」

 そっち?

 それぞれの術師は自身の持つ術の種によって髪の色が変わるんだ。

 火は赤髪。水は青髪。土は茶。風は銀。森は緑。雷は黄。術者じゃない 人々は主に金髪とか黒髪とかとかとか。――――――ちなみに、三ヶ月前に 即位した国王は金髪だ。それがまたこの国王様の即位にも、いろいろゴタゴタが ありまして――――――


「とにかく行ってもらうよ。今は特に優れた術者が少ないし。 国王の庇護がなくなれば、火術師(わたしたち)は迫害の対象になってしまうのだから。」
「……………。」

「今からね。」
「早!!!!」

「術服で行ってね。一応、絽火。君の行動一つで火谷の命運が変わってしまうから。」

 笑顔で言い放つ“長”に、呆然とした絽火は部屋を追い出された。


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2006.01.22 〜 Free Will掲載