第十世  そんな事って

「本当に、本当にですか!!?」
 まるで、間違いであってほしいという声が聞こえる。
「ああ、決定だ」
「しかし、王!!」
「なんの問題がある」
「それは………しかし!」
「明日、皆の前で公表する」
「「「「王」」」」
「以上だ。解散」
 振り返ることなく、王は会議室を後にした―――――



―――――――また、またなのか!!!

再び、僕は失うのか?

 再び

――――――いやだ、今度こそ、

たとえ、僕を知らないとしても――――――




「…………………」
 説教を食らった上に、双子と同じ部屋に入れられた。―――――さすが、子供? 気配に敏感で、真ん中に寝る私 が起き上がると、どこに行くのかついてくる。置いて行こ うとすると泣き出す始末―――――考えたな!!!
「はぁ………」
「十音お姉ちゃん遊んで〜〜」
「十音お姉ちゃんこれ読んで〜〜」
 どうやら目が冴えきってもう寝る気はないらしい。傍目 にはかわいい双子がそれぞれに希望を言う。この小悪魔二 匹。
「わかった、わかった。まずは、二乃ちゃんから」
と振り向きながら言うと………
「私二架!」
「こっちが二乃!!」
―――――わかるか!!!
 同じ服で同じ髪型で、同じ声で!ああもうどこで区別を つけろと!! 七羽さん(“さん”に落ち着いた)は慣れと か言うし。
「はぁ………」
 ため息を、隠すことなくあらわすと、怒ったようだ。
「「お姉ちゃん! お願い聞いて!!」」
「わかった……………っ!!」
 視線を二人に戻して、ふっと思い出した。
「…………ねぇ、五依……さんに、似てるよね?」
 雰囲気は三臥に近い。
「「!!!」」
 まじまじと顔を見合わせて、頷いた双子は私を見た。

「十音お姉ちゃん!」
「絶対誰にも」

「「ないしょだよ!!」」
 唇に人差し指をあてて、近づいてきた明るいこの二人。

―――――まさか、苦しみなんて、思わないじゃない…………



 静かに、部屋を後にした。―――――どうしても、一言 言いたかった。夜更かしをしたせいで疲れた様子の双子は、私の出て行 く気配に気づかなかった。
――――――同じように、開いてあった窓の外から覗く気 配にも、気づかなかった。



「使えそうか」
「……………全然」
「――――まぁいい。まだ、「元」の要望はないのだな」
「最近はもっぱら七羽ですから」

「――――――まさか、呼ばれるはずないだろうが。」

「何か言いましたか?」
「いや」
 出口に向かっていたが、立ち止まって振り返った四利は、 その言葉に王の執務室を後にした。



 日は、昇った。



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