第十六世  それは誰

 朝起きてベッドを後にしても、泣き疲れていた二人は起きなかった。


 ――――十音お姉ちゃん。この話は絶対誰にもないしょだよ。だって、「元」に選ばれた者の中で始めて城の外に出ることを許された十音お姉ちゃんだからこそ、この話ができたんだもん!

 …………私が、“何時(いつ)”この城の外に出たんだろう?………私が、“何時(いつ)”「元」に選ばれたというの!!
 誰?“十音”って誰!! ―――――この世界で! 必要とされている。――――頼りにされている“十音”って誰なのよ!!!

 角を曲がったら、知っている道に出た。そのまま与えられた部屋に帰って、入って扉を閉じてしゃがみこんだ。―――――そう、二乃と二架の部屋に姿が見えないので、探しにきた四利が来るまで――――



「――――部屋にいてくれないか?」
 命令のように言い放った四利と離れて、部屋へと帰ってきた。

「こちらで、お待ち下さい。」
 丁寧に頭を下げて、部屋までついてきた兵士は扉を閉じた。サイドテーブルには、まだ湯気のたつ食事がのっている。
「……………」
 食べる気にならない。
 何かをするともなく寝台に上がったり下りたり。ぐるぐると渦巻く考えが頭から離れなくて重くて苦しくて悲しくて辛くて。苛立って。


 いつしか、部屋を後にした。




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