05*魔女様のお考え*


 待てと言われて待つ奴はいないし、名乗りもしない男と会話をする意味が解らない。
 この容姿のせいか、いつも幼く見え、いつも見下されてきた。
 そうね。人を見かけで判断した結果なら、報いとして当然よね。ふと浮かんだ笑顔を隠すこともなく歩き続ける。
 って言うか、邪魔。
 前をふさぐように馬を回された。え? 何? 三人で道を塞ぎますか。土埃で煙い。
「――もう一度聞く。おまえは誰だ? どこへ行く?」
 質問が増えている……
 こいつの胸に刻まれた紋章は覚えている。王家だの、騎士だの、国だの、政治だの、政策だの。私には関係ない。――これだから外はうるさいのだ。
「家に住めなくなったので、引っ越すんです」
 うん。うん。間違いない。
「さっきいた魔物はなんだ」
 お前、ひとつ答えてやったからって調子に乗るなよ。


「団長! 大変です!」
 これが団長かよ。また別の男が馬に乗って、こちらに向かってくる。
「パラスの村を魔物たちが襲っていて、瘴気も溢れています。魔物の討伐は可能ですが、元に戻るのは不可能かと……」
 待ってあんた達、いまだに浄化もできないの? 確かに壁を作って、防衛するのもいいんだけど。
「それと瘴気を吸った住民が体調不良を訴えております」
 まぁ、あれだけ清浄な気の中にいればね。一か月すれば慣れるでしょ。
 平気平気〜じゃ、そゆことで〜
「おい待て」
 私は待てじゃない。――っ!?
 背を向けたのが悪かったのか、衝撃に目の前が暗くなる。
「誰かこいつを牢に入れておけ。逃がすなよ」
 ――誰が……なんだっ、て?

2017.03.15

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