06*嘘をついたのはどっち?*


 怪しい女を牢に放り込むように指示を出し、村へと向かった。
 想像以上に悲惨だった。
 そもそも魔物の存在などおとぎ話のように、現実から遠ざけていたのだから、無理もないだろう。
 団員達に殺された魔物の死骸の撤去を急がせねば。腐敗した魔物の死骸はさらなる瘴気をまき散らす。
 ああ。瘴気のないパラスの村がなつかしい。
 直接魔物の被害にあっていない者達も呼吸が苦しそうだ。まったく、もう少し瘴気の体制をつけておいてもよさそうなものだが。
 薬草ではなく、瘴気によって咲く花の茶を支持する。とにかく体に毒を慣れさせなければ――いずれ死ぬ。
「隊長!」
「村長はどこだ?」
「広場におります。――それと同じく広場に、妙なものが」
 どんなものだ?

 ――なるほど、妙だ。
 言うならば火刑台だ。時代錯誤も甚だしい。誰を火あぶりに――と考えて合致する。あの、妙な女。間違いないだろう。
 話は、まとめて聞こう。

 ――結論から言うと、火刑について村長は口を割らなかった。こんな時でも、村の住民は口を閉ざす。あのなぁ。死にかかっといてそれか!?
 何度か茶の乗った机をこぶしで叩いた。
 有効なことは何ひとつ聞き出せなかった。――魔物におびえた村は、崩壊に向かっていた。

「どうされますか?」
 副団長もかなりいらだっているのが伝わる。これじゃ証拠も、陛下への報告も――待てよ。
「保険をひとつ、捕まえてある」
 あの変な女だけが、後は頼りでしかない。

2017.03.27

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