09*魔女様の優先順位*


 さて、いつまでもこんな所で、律儀に相手の相手をしてあげる必要は、ない。私には新しい住処を探すと言う使命が。んーんー……どうすべ? すぐできそうなことと言えばーそうねぇ……ないわねー……ないこともないか。でも意味があるかと言えば……ないわね〜……こんな時に、思い出す、力と盾――それに、地。別の能力があれば、もしかしたら違ったかしら、と。
「柄にもなく、弱気ね……」
 こんな暗いところに閉じ込められたら暗くもなるわっ! 勢いよく起き上がって、周囲を見渡す。とにかく、引っ越しよ引っ越し! ――邪魔させないわ!! 魔物たちをここまで呼べばいいのよね〜でも、これをしたらここも潰れるわね。
「……。ま、いっか」
 私を牢に入れた報いは、受けてもらうわよ?

 ――誤算だったのは、あの騎士団達が無駄に有能だったことよね。


 浄化と言うのは、神からもらった力のおかげで簡単にできた。――そして長い時間の中で、別に身に着けた力は、「増幅」だった。
 おそらく浄化の力の副産物だったのだろう。
 おかげで意図せず――私は瘴気の増幅もできるようになっていた。
 空気が震え、細かい音が聞こえる。漂う瘴気は周囲の力を取り込み、徐々に増していく。天井付近の小窓から溢れ、外へ逃げるだろう。地下牢の入り口が閉ざされていればなお、外へ向かうのも早かろうが――

 ドゴーンと、遠くで何かがぶつかるような音が、した。よしよし。これで――ん?
 バタバタと走る音が、近い。

「おいっ!? 早く出ろ!!」

 ん?

 予想外だったのは、魔物が襲ってくるのを見て、瘴気が浄化されなくなったパラスの村には利用価値がないと、彼らが砦をあっさり見捨て、王都に帰るという選択肢を持ち出したことだろうか。

2017.04.09

Back  Top  Next