10*騎士団は現実主義です*


 想定の範囲内ではあったが、砦の側にまで魔物が出現し始めた。
「隊長、どうされますか」
「撤退だ。陛下にも書状は届けてある」
 控えめに考えても、「浄化」の研究に的なさいのであれば妥当な判断だろう。この砦の建設経費を考えると、あとでかなり糾弾されそうだが。詳細な報告書の作成も必要になるだろう。頭が痛い。
「なんにしてもこのままでは不利だ」
「パラスの住民たちはどうされますか?」
「どうもこうも援助を断られた以上これ以上関わる必要もない――撤退の準備を。荷物は、最低限でいい」
「牢屋のお客様はいかがしますか?」
「あれも――連れて行く。陛下の土産にちょうどいいだろう」
 なんの役に立つかはわからんが、何かしら役には立つだろう。
「必ず見張りをつけろ。逃げても面倒だ」
 と言うか、
「お前達は荷造りを、私は、あれを捕まえてくる」


 牢屋の前まで来て一応の事情を説明すると、女は絶望的な顔をした。

「あああんた達、もう少し情とかない訳?」
「断られた」
「……」
 なんだか思い当たる節でもあるのか、女は額に手を当ててさらに絶望を深くしていた。
「じゃぁ私をここから出して」
「お前は王都に連れて行く」
「はい?」
「陛下に土産のひとつでもないと、私の功績に傷がつくだろう?」
「あんた、マジあとで後悔させるわよ」
「何言ってるんだ?」

 本当にこいつは何を言っているのかと――呆れていたのだが――……

2017.04.09

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