12*魔女様は不機嫌です*


 王都に行くとかで、簀巻きにされて馬車の中に放り投げられた。割とガチで。マジで、あいつら、呪う。
 なんでも早馬でいつかはかかると言うあの山の向こうに、王都はあるらしい。
 言ってしまえば、あっちのほうは、行ったことある。気がする?
 しょうがない引っ越しの足だと思って我慢してやるわ。今わね!!!

「お腹すいた」
「さっき食べただろう」
「あんた、団長なんだから先頭でも颯爽と走りなさいよ」
「体力温存だ。魔物が出ることもある」
「部下を盾にして生き延びるのね。さいてー」
「……最悪そうでもして王都に帰らねばならない」
「マジで返すのやめてくれる」
「ここら辺は浄化の影響なのかほとんど魔物はいないが、ひとつ山を越えると、かなりの数がいる」
「へーどうでもいい」
 たぶん、村の向こうの瘴気溜まりの居心地がいいので、この辺の魔物は全部そっちに住んでいるのだろう。
 山を越えれば瘴気だまりは遠ざかるから、普通に、わんさか……
「どさくさに逃げようと思うなよ。魔物は柔らかい肉を好むからな」
「そうね私のほうがピッチピチよね」
「おいしそうには見えないがな」
「お前、ホントあとで覚えとけよ」
「とにかく休憩は昼まで先だ。これでも食べてろ」
 口の中に押し込まれたのは飴だった。……餌付けなんてされないわよ!! おいしいけど!!!
「もう一個」
「砂糖は貴重品だ」

 そう言って団長と呼ばれている男は、御者台のほうに消えた。
 腕は縛られて、足もどっかに括りつけられていて動けない。……あのさ、女一人にずいぶん厳重過ぎないと思わない!?

2017.04.16

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