13*王都までの道のり*


 道々切れそうになる……いやいや、待て待て、落ち着け。何度か口封じ……だめだ。とにかくわがままな女にどっかに置いてこようかと何度か思ったが、陛下に申し訳がないので我慢した。幸いにして口の中に飴を放り込目ば静かになるので、よかったと言うべきか。
「団長! 見えてきました!」
 何度か魔物の襲撃を受けたが、おおむね順調に帰ってきた。――懐かしの王都。
 これで母親に結婚をせがまれることは間違いないな……また頭が痛い……
「急ぎ、陛下に謁見を」
 ふと、荷台の中を振り返ると、女は仰向けで寝ていた。帰還当初よりも多少拘束は緩めたが……なぜかいらだった。

「帰ったか」
「はい。陛下」
「……して、その報告にあったその娘は……」
「こちらですが」
 女はこちらを睨んでいた。それ以外は、侍女に見れる程度に飾ってくれと頼んだら意味を理解しなかったのか本気で女を飾り立てた侍女によってそれなりに淑女に見える。だいぶ暴れるので、猿轡をかませておいてよかった。静かだ。
「森で火あぶりにあいそうになったらしいな?」
 女は、肯定も否定もしなかった。心底、どうでもよさそうだ。おい、陛下の前で無礼な……ん? 侍従が慌てたように陛下に近づき、何か耳打ちをしていた。基本的に帰ってくることは伝えてあるし、最優先にしてもらっている。それを押して謁見中に割り込もうとする案件など――あったか?
「太王太后?」
 陛下がおどろいたように声を発した。それもそのはず。太王太后様は長く病を患い――物忘れ病だ。一人では生活ができない。そのため、太王太后様はかつてスティアの神殿の巫女であったことも考慮し、今では神殿で養生しているはず――
「そこにいるのですか、陛下。神様が使者を使わせ――」
 まるで在位中であるかのように確かな足取りで、太王太后様が謁見の間に入ってくる。その声が、不自然に途切れた。
「おばあ様」
 陛下が困ったように、声をかけるも、まるで聞こえていないかのように、一点を凝視していた。震える指先が差しし示すものはひとつで、すぐにはっと指を下した。まるで無礼に気が付いたというように慌て、床に額をこすりつけた。
「はっ……始まりの魔女様!!!」

2017.04.24

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