14*それは味方か援軍か*


 一言で周囲がざわついた。――思い出す。

『そうそう。君のことを誰も知らないんじゃかわいそうだから、神殿を立てておくね』
「……」
『あれ? どうしたの? もっと泣いて喜んでいいんだよ』
「止めても無駄なことはわかったわ。話しかけないで」
『つれないなぁ〜もっといじめても大丈夫そうだね』
「くそう。無駄か」
『そうだね。君たちは「始まりの魔女」、信仰は「スティア」、神殿はスティア神殿だね』
「悪趣味よね」

 あいつ、あん時、本気で殴っておけばよかったわね。――それはそうとして。

 口に押し込まれた布のせいで言葉が発せないことに気が付いてほしい。
「んー!」
「はいっ!」
 突然現れて老婆は壇上の上で偉そうにふんぞり返っている男の祖母らしい。長い白髪に、しわの刻まれた顔。呼びかけると察したように顔を上げ――青ざめた。
「――っ! な、なん、なんてこ、なにを……」
 慌てたように近づいてきた老婆には結び目が硬すぎるのか、無理に引っ張られて痛い。
「早く! 拘束を解いて!!」
 一瞬、隣にいた男の気配が揺らいだ。衝撃に固まっていた周囲は、ようやく動いた。
「太王太后様、しかし……」
「この大バカ者!! 早くおし!!!」
 老婆が団長を叩いている。いいぞ、もっとやれ。腑に落ちてない隣の男が、それでも拘束を解いてくれた。
「あーー……」
 首を回す。手首を回す。よし、元気。
「申し訳ございません!」
 老婆が再び床に額をこすりつけて謝罪した。
「死刑」
 端的に述べると、急に顔を上げ、唇を?んだ。ぶるぶると震え――
「申し開きはございません。わたくしの――」
 この命で――

2017.04.24

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