16*ピュリファの魔女の現実*


 ――様変わりした世界は、役目が終わりに近づいていることを示唆しているのかもしれないし、それとも呪いのように何も変わらないのかもしれない。

『それは困ったなぁ。君が瘴気の浄化に成功したおかげで、この世界の住人は瘴気の中で生きて行く事になったんだから』

 あいつ。ホント腹立つ。

 当代の巫女――アンナリーナに案内され、食堂。すすめられた椅子に座り、出てくる料理は。
「おいしい」
 まともな肉なんて久しぶりだわ。――別に食べなくても、生きていけるんだけど。味付けも辛みが強くておいしい。
「ああ、よかった。確か、辛いものがお好きとか」
「……好きだけど」
 大好きだけど。――あの野郎。どこまで個人情報を神殿に提供したんだ。まぁおいしいから許す。これでおいしくなかったら神殿で暴れてやる。
「どうぞ、こちらも。名物料理のひとつ赤辛蕪のスープです」
「これこれ〜おいしいわよね〜どうしたの?」
 本当に本当に心配そうに、こちらを見つめる巫女。
「その……調理方法は変わっていないはずなのですが……」
「ああ」
 なんせ三百年前じゃぁねぇ。うん。
「おいしいわよ」
「よかったです。今、お酒のお替りも準備します」
 飲み明かすか。

 食べて、お風呂に入って、客室に案内された。必要なものも欲しいものも、あるけど。体がバッキバキだから休みたいと言えば、話は明日ということでまとまった。
 まぁ向こうにも、反省の時間は必要でしょうから。

 私も――時間の流れについていくには、少しだけ。心構えが欲しかった。

2017.05.01

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