24*騎士団長の決断*


「私も連れて行って下さい」
「断る」
 想定の範囲内だ。馬から下り、荷物を下す。馬を叩きもと来た道を戻らせて――地面に膝をつき額をこすりつけた。
「お願いいたします」
 魔女の気配が揺れたような気がする。
「いや、あんた。騎士団は?」
「……実は魔女様を牢屋に入れた罪に問われまして」
「ああ、思い出した」
 忘れてもなかったけど。と、続ける魔女。
「スティア信仰がより一層増した中、その事実は消えないもので。大臣を交えた会議で難色を示されまして……と言うか魔女の居場所が分かっていたほうが便利だからついて行けと陛下が……」
「おい。心の声がダダ漏れだよ」
 なんで逃げるってわかったんだ? と呟く魔女。陛下の言ったとおりになっている。
「同じ失敗は重ねてはならないと陛下が」
 神のお告げが巫女である太王太后様にあったからよかったものの、どこかの世代でまた無礼を働く訳にもいかない。
「お前達マジ、怒るよ?」
「お怒りはごもっともですが、王都には戻れません。断られてもこっそりついて行きます。陛下の命令なので……それでしたら荷物も持ちますし、路銀の心配もありません全部新しく予算組みました」
「おい国家予算」
「雑用でもなんでもしますから、お願いいたします」
 魔女はため息をついて、私に向かって荷物を投げつけてきた。結構痛い。
「じゃ、それ運んでね」
 覚悟はしていたが――かなりこき使われそうだった。

「ええと、魔女様?」
 先を歩く魔女に声をかけると、彼女はふと足を止めた。
「アンジェ――アンジェよ。次に魔女って呼んだら、呪う」

 私とアンジェの旅は――始まったばかり。


<箱庭の世界>
おしまい
2017.05.28

Back  Top