ただの気まぐれだった。イクルの申し出というか、強引にオリアに連れてこられた。そんなに、ひどかったのだろうか、俺は。イクルに聞くと今にも飛び降りて死にそうだと言われた。……そんなにひどかったのか?

 今でも引きずっているのは自分でもわかっていた。十分承知している。もう、三年にもなるのに。また、命日が近づくともとに戻る。そんな一年が続いていた。ディルのほうは、ちゃかすことが多くなったし、ローツェにいたっては……

わぁぁぁああ!!!
「――!」
 大きな歓声に思考が目の前に引き戻される。
「お、決まったか」
「………?」
 そう言えば、ぼぅっとしていて目の前で何をしていたのかまったく目に入らなかった。不思議そうに下を見下ろして、絶句した。



「勝者! イリース・エリア!!」

 もう一度恋に落ちたと言ったら、フローラに笑われてしまうかもしれない。



「当然」
 ピッと髪を払って、にやりと笑った。


 オリアでは、年に一度魔法大会が行なわれる。この大会で優勝する事も、色位を上げる一つの要素だ。ルールは簡単、魔術を使って、相手を戦闘不能にすればいい。殺しは禁止。死人を出したものは色位を剥奪された上に地下作業に送られる。もう、魔法を使うことは許されない。出場者を十二のブロックに分けて行なわれる予選。勝ち抜いたものたちのリーグ戦。

 今年の優勝者は決まった。



「……? おい? リーク?」
 呆然と目の前に見入っていた友に声をかける。何を見ているのかと思えば、優勝した、
「イリースがどうかしたのか?」
「イリース……」
「……おーーい、リーク?」
 もう、声は聞こえていなかった。と、思ったら、

「彼女を、俺にくれ!」

「そういうのは、本人に了承をとれ」

「…………」



「確かに惚れっぽい性格をしているのはわかっていたけどよ〜〜」
 それでも、好きになる人がとても少ない。変わりに、その人だと思うと突っ走る。
「の癖していざ目の前にすると駄目駄目なんだよな……」
 言葉の通りではなかったが、イリースを送り出した。そんなオリアの代表、イクルは一人部屋でつぶやいていた。



「顔をあげよ。オリアの魔法使いよ」
 声が震えないようにするには、きつくするしかなかった。ゆっくりと顔を上げたイリースの表情が強張るのを見て、こちらは焦った。
「よく来たな」
 本当に。どうしたらいいのだろうか。



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