〜お休み前に本読んで〜

「くっっっだらない」
 ぽいっと、読んでいたらしい本を投げ捨てる藺宇。

「どうしたーー?」
 部屋に入ってきた藺志が声をかける。そして床に投げ捨てられた本を拾う。
「面白くなかったのか」
「つまんないーー」

 広く大きなベッドの上で、寝巻き姿の藺宇は足をばたつかせた。

「……。」
 同じく寝巻きの藺志が近づく。
「―――そんなに、面白くないのか?」
 同じくベッドに座って本を開くことなく表紙をなでた。

“男の子と女の子”

「つっっっっまんないから」
「どんな話だ? 俺読んだことねーーぞ」
「―――なんか、暇だったから書庫あさってた。」
「へ〜〜弦鋼は?」
「パシリ」
「で、内容は?」
「え〜〜?」
 嫌そうに振り返った藺宇はしかたなく内容を話し出した。

「ある所ある国。貧しい農夫の家に子どもが生まれましたーー。二人目は男の子、一人目は女の子。」
 もうちょっとやさしく書いてあるでしょう?
「活発な女の子とやさしい男の子。両親は二人が入れ替わるように神様にお願いします。」
 ―――まぁ、よくある話?
「百二十五回目の日が昇ったとき、ついに願いは聞き入れられて、男の子は女の子になって、女の子は男の子になりましたーー」
 ふうん。
「そうして、この農家の生活には余裕ができて、家族四人仲良く暮らしました。以上」
「………で?」
「くっっっっだらない」
「そうか?」
「だって、どうしてこの子が女の子じゃなかったのかしら? どうしてこの子が男の子じゃなかったのかしら? って両親がさめざめうだうだやってんだもんーー」
「つまらないな」
「大体ねーー本当に性別を変えてしまうより、入れ替わる今のほうが面白いもん〜〜!!」
「楽しいよな」
 にやりと、二人は笑った。

コンコン!!
「―――王子様、王女様」
「なによぅ」
「なんだー」
「お早くお眠りを」
「え〜〜最悪ーー」
「うるさいなお前」
「…………」
 扉の外で弦鋼が、震えていた。――――怒りに。

「ま、いいか」
「そーね」
「お休み」
 ベッドに横になっていた藺宇はごそごそとシーツを引っ張った。
「おーやーーすみー」
 そう言って藺志も入り込む。

 二人は、布団中で目が会い意味深に笑いあって、眠った。


 ―――ちょっと待て、何歳だお前ら。

あとがき
 何が書きたいって、一緒に寝ること
 入れ替わるのが楽しい藺宇
 藺志も同感


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