〜3〜

「寒い」
「寒いですねぇ〜でもセネカ様ぁ。せっかく王様がセネカ様に税金注ぎ込んで部屋を温めているのに外でお茶飲むんですか?」
「なんか軽く扱いが悪女でムカつく」
「セネカ様は国を傾けるんですよね?」
「レイネお姉様の専売特許」
「でもぉ国民の税金がセネカ様の部屋の薪代に」
「………」
 湖にはった氷に綺麗にひびが入るような音の後、容赦なく何かが沈んでいく音。その後沈黙。
 透き通った青空に、暖かみのある日差し。まだ冬は終わらない。


「おっあれ王妃じゃね?」
「……この寒いのに外で何を……」
「まぁ王妃だし」
「納得するな……」
 脱力した国王が近づく。足を進めると王妃の足元には、これまた見慣れた侍女が伸びていた。
(標準使用か……?)
「昼間とは言え寒くないのか?」
「まぁまぁ暖かいわよ。飲む?」
「いらん」
「はぁっ! 王様の分もですね!!」
 がばぁと起き上がったゾンビ……もとい侍女。その背にピンヒールがめり込み、グェと何かが潰れる音がした。
「暖かくなるといろいろ出てきて面倒なのよね」
 グリグリとさらに力を入れているのか、ぐけ〜とうめき声が聞こえる。
「そうだな」
「そうよ」


 廊下を歩いていると、不信人物……もとい王妃付きの侍女に遭遇した。
 こそこそしつつ、キョロキョロしている。身元が知れなければ問答無用で引っ捕らえる。しかし、そこは王妃侍女。
「………」
 はじめの選択しに「見なかった」を作り上げたが……警備の兵士がお手上げだとこちらを見ている。
 それはもう尊敬の眼差しで。
「あ〜ユーリスティック?」
「! あ、セネカ様の玩具その二!」

『はじめて本気で女を刺し殺そうと思った』のちのセズは語った。

「違います」
「往生際が悪いですよっ」
「不審者として引っ捕らえますよ」
「ぇえ!? どうして!!?」
「エルモア! あんた遅すぎよ!!」
 そこに王妃は参上する。
「セネカ様〜なんか国王様の護衛がひどいんです〜」
「なによ」
「私を牢に入れるって〜」
「止めない」
「えぇ!?」
「よろしく」
「セネカ様の裏切り者ぉーーーー!!!」


 廊下を歩いていると、いまいち愛されているのか遊ばれているのか境界がよくわからない妻の侍女に遭遇した。
「あ、セネカ様の玩具その一!」
「牢屋は余ってるぞ」
 そうか、そんなに入りたいか。
「ぇえ!!? なんでこの前と同じ展開!?」
「どういう意味だ」
「もぉ国王様ぁ〜二番煎じですよーそれー」
「ぁあ。樽に入れて町中を引き回すか」
「どこの拷問ですかぁ〜」
 けらけらと笑う侍女。
「樽の内側に釘打っとけば完璧ね」
「誰もそこまで言ってないが」
「セネカ様!? ひどいんですよ! 王様まで私を牢屋に入れるって……」
「止めない」
「セネカ様の裏切り者ぉーーー!!?」
「二番煎じよ、それ」
「悪女ーラスボスー陰険ー非道ー魔女ー」
「魔女はリノル、アイレの専売特許」
 その前は……?
「傾国の美女〜あ、違った」
「違う?」
「国を傾けるのはセネカ様でも美女はレイネ様の専売特許ですねっ!」
 ゴスッと、鋭い音のあとに侍女は吹っ飛んだ。セネカの飛び膝蹴りが炸裂した!!
「なんだって?」
「レイネ様の専売特許〜」
 侍女は泣いている。しかし容赦ない。
「なんだって?」
「セネカ様もうつくし〜ですーたぶんー」
「なんだって?」
「セネカ様もレイネ様も美女は専売特許なんですーぅぅう」
「それでいいのか?」
 国王が突っ込んだ。
「いいわ」


「Winter short conte」


2011.05.00