13
彼女が声を大にして言いたい主張


「さぁーーーむぅーーいーーーぃぃい!」
「何を叫んでいるラーラ、寒いならいつでも夏にしてやるぞ」
「いやよ! 化粧が落ちるじゃない!!」
「その言葉はどこから突っ込めばいいんだ?」
 一秒と間をおかず突っ込まれた言葉に答える三人衆。そのいち。
「とりあえず魔界の秩序は保たれたようでいいのでは?」
「確かに」
 さて、魔王様。ここにきてはじめて額にしわをよせました。
「むっ……夏は嫌いか?」
「スイカは好きよ! ついでに海が真っ黒じゃなきゃいいわ!!」
「なら赤くしてみようか?」
「赤?」
「ラーラ!! あなたの言葉でどれだけの犠牲が出ると思ってるんですか!?」
 首を傾げたラーラに、青ざめる三人衆そのに。
「あれ?」
「何を心配している。スイカしか使わないぞ?」
「魔王様。スイカの定義を教えてもらえませんか?」
「頭が黒いことか?」
「違うわよ!!!」
「そこは突っ込むのか」
「うるさいわよ外野! 場外ホームランか!!」
「ラーラ、何意味不明なことで一人ツッコミを入れている。病気か?」
「あんたに言われたくないわ!!」
「何を言う」
「この病原菌が!!」
「まぁ今ここが寒いのはこの前うっかり山を吹っ飛ばしたから雪雲が流れてきているせいだな」
「本気で原因はお前かぁーーー!!!」
「いやぁ。しばらくペットに構う暇もなく」
「誰がペットよ。ぇえ?」
「なぜか来客が多く……誰のせいか」
「ちょっと、なんか氷像が三つも出来てるんだけど?」
「よもや提出日を改竄されるなど」
「気がつかなかったわけ? マヌケね〜」
「それはどうでもいいんだが」
「いいの!?」
「問題はペットに構うヒマもなく……」
「一生そのままでよかったのに」
「面倒になってきたから一度全部水にでも流そうかと」
「どっかで聞いた話ねぇ〜! ノアの箱舟ねっ!
「ラーラ! あなたのせいで魔界の領土がすべて水にのまれるところだったんですよ!!」
「いいきみだ」
「思ったのだがそんなに簡単に死なないだろう魔界人」
「「「呪います」」」
「いーやーぁーー!!? なんかデジャヴューーーー??」
「やはり海を赤く染めたほうがいいか」
「魔王様!!?」
「大変だ! 黒髪は全員毛染めだ!!」
「なんでよ」
「頭が黒いものが狙われるに決まっているからでしょう」
 スイカが足りなくなって、その首が魔王様によって狙い撃ち!!
「全部引っこ抜けばいいじゃない」
「……リトルデビルが……」
「そんなかわいいもんじゃないだろ。大魔神だろ」
「きっとひっくり返した裏側も真っ黒なんですね」
「その手があったか」
「「「やめてください!!」」」
 あわれ、魔王様は自分が楽しめるものの味方です。
「いや、最近手持ち無沙汰で何かこう……捻り潰したくなるんだが……例えば黒いものとか」
「はいどうぞ」
 さっとラーラを差し出す魔界三人衆そのさん。
「そうそう、ペットはこのくらいで」
「だぁれがペットだぁぁぁぁああーーーー!!!」
「もっと静かだといいんだが」
「私をかぇえせぇぇーーー!!」
「寒いのに元気だな。ほれ食え」
 冬といえば肉まん!
「おいしい。あんまんほしい」
「カレーまんもあるぞ」
「やっぱ寒い冬には肉まんよねぇ〜!」
「そうだな。お茶もあるぞ」
「あったまるわぁ〜」
「そうか」
「あー和むわぁ〜……」


 数分後。

「眠い」
「自由人か!!?」
「寝るならあっちにベッドがあるぞ。さすがペットは欲望に忠実だな」
「ペットであることは認めないけど欲望に忠実なことは認めるわ!!!」
「ぅわぁ駄目人間街道まっしぐらですね」
「そもそもまともな人間じゃねーだろ」
「「確かに」」
「うっさいがいやぁ!!!」
「耳が……」
「冬は寒いんだから! 冬眠したくなるわ」
「駄目だ」
「いきなり何よ」
「ラーラ、私が遊ぶペットが冬眠してどうする」
「私の平和が保たれていることに文句でもあるわけ」
「大有りだ。もうひとつくらい山でも吹っ飛ばすか……」
「ラーラ!! 眠ってる間に冬眠しますよ!!?」
「永眠しろっての!? 迷惑な!!」
「ラーラ、私の迷惑を考えろ?」
「なんで私があんたの迷惑を考えなきゃならないのよ!!! あんたが私の迷惑に決まってるでしょうがー!!?」
「そうだなぁ。あの山も邪魔だと思わないか?」
「なんかぶっ飛んだーーーー!!!!」
「どちらの存在も同じくらい迷……いえ、重みがありますねぇ」
「ペットに重みなんかねーだろ」
「発言権がなければいいんでしょうね」
「口をふさいでも迷惑なことに変わりなさそうですよね」
「「確かに」」
「うざいわ外野!!」
「もう少し静かにしませんか?」
「なんでよ」
「私達の心の平穏のために」
「山で思い出したが、」
「あんたの話はきーてないから!!」
 ぴし、どこかにヒビが入りました。そう、お城の壁とかに。
「ラーラ! 僕達は差し置いていいですから!!」
「魔王様の相手をしてください!!」
「いやよ」
「山で思い出したが、あの山を吹っ飛ばすと天空のバランスが崩れてしばらく道がつなげなくなる」
「いーーーーやーーーぁぁぁぁああーーーー足元をみられてるぅぅうううーーーー!!!」
「どうあってもうるさいな」
「うっさいわぁぁぁああーーーー!!!」
「それで思い出したのだが」
「なんなのよ!? 聞けばいいんでしょう聞けば!! ぇえ?」
「誠意がないな」
「あんたに“誠”を問われるなんてありえないから!!!」
「そうか。では」
「あーーあーーあぁぁぁーーー!!! なんですか!!? 聞いてやろうじゃないのよ!! ぇえ?」
「だから誠意……」
「魔王が正義を語るな!!」
「私が法律だが」
「さも当然のように言うな!!!」
「まぁ当然ですから」
「ですねぇ」
「うるさーーーぁぁーーーいい!!」
「でだラーラ」
 慣れきったのか、耳を押さえる三人の男を無視して爽やかに魔王様。
「いらついた」
「いったいどうした?」
「ぇえぇえ。私が話を聞けばいいんでしょう!!? なんですかいったい!!」
「語尾に(涙)が見えるが」
「気のせいです」
「そうか?」
「そうです」
「そうか」
 どこか満足そうに魔王様。
「お前の差し金だぁぁぁぁぁああーーー!!!」
「いきなりだな。もう少しまともに会話をしようという努力はないのか」
「だいなしにしてるのもお前だぁぁぁああーーー!!?」
「だから誠意をだな」
「まぁだひっぱるかぁぁぁぁあああーーー!!」


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