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そんな三人衆とコント


「さぁ今日は魔界について学びましょう」
「なんで」
「「「即答」」」「か!!」「ですか」「……」
「いいか、お前が魔王様を敬わない理由は魔王様が対策を考えることだから俺たちには関係ない、が、」
「あなたがもっと魔界の仕組みについて知って頂かないと」
「こちらの仕事が増えるので迷惑です」
「紙飛行機は諦めたわよ。あ、でもたき火はしたわ」
「なお悪いですよね……」
「だって焼きリンゴ食べたかったんだもん」
「ここで焼き芋とかじゃないんですよね……」
「キャンプファイヤーで焼きリンゴとか狂気の沙汰だな」
「燃やしていいって言ったもん!」
「そもそも変人ですし」
「聞こえてるわよ!」
「と言うことではじめます」
「何が「と言うこと」だ!!」
「お前が書庫の本全部焼き払うからだろうが!!」
「燃していいって言ったもん!!」
「前回と同じか!!」
「ペットの躾は魔王様の対象外ですし」
「私は人間だーーーー!!!」
「うるせーー!!」
「怒られたぁ!!」
「お前、いい加減空気を読めよ」
「人外に空気読めって言われたくないだけど」
「必要能力です」
「なんのために」
「私」「俺」「僕」
「「「の平穏のために」」」
「ふざけんなぁーーー!!!」
「いい加減でこっちも怒るぞ」
「まぁまぁ。やるなら自分だってわからないようにしないと魔王様に八つ裂きにされますよ」
「なんかあったら全部こいつらのせいって言う」
「お前。魔王様がそれを信じると思っているのか」
「さぁ?」
「魔王様の場合、面白いほうにつくでしょうね」
「この小煩いペットのほうがおもしろいんだろうな」
「そういうことですね〜はぁ。まったく」
「「「なんでこんな変哲もない小娘に」」」
 声をそろえてがっくりとうなだれる三人衆。デューが続けます。
「書庫の本を丸焼きなんて被害に……」
「運ぶの大変だったのよ!!」
 筋肉痛を訴える女子。
「当たり前だ!!」
「っていうかそれくらい魔王様には朝飯前では……」
「何言ってるのよ! 自力で運ばないとりんごくれないって言うのよ!!」
「飼い馴らしてるぞ」
「まぁペットですからね」
「期待するだけ無駄か」
「誰が無能だーーー!!」
「まだ言ってねぇ」
「言うつもりかーーーー!!!」
「はいはい。落ち着きましょう」
「コントは十分ですよ……」
「誰がコントよ!!」
「お前の存在だ!!」
「うっさい! どうせあんたたち魔王に逆らえなくて私のわがままとで板挟みにあってればいいんだ!!」
「無駄に設定が細かいですよね……」
「言い返せないところが切ないですね」
「ばーかばーか」
「黙れこのペット!!」
「誰がペットだーーーー!!!」
「だから落ち着いてください。当初の目的が迷子です」
「おやつくれるんでしょ?」
「食で釣るべきか……」
「手なずけると魔王様に消し炭にされますよ」
「……なんでこいつが……」
「おーやーつ!!」
「はいはい。家畜のように太るといいですよ。それでも食べてもおいしくなさそうですね」
「なんですってぇーーー!!」
「はい落ち着きましょう」
 かぱっと、ラーラの口にマフィンを押し込むデュー。
「ふぉいひー」
「動物だな」
「ペットですから」
「むむー!!」
「はいはい。で、ですね」
「おかわり」
 黒板をチョークで叩いたセンドールに向かって手を伸ばすラーラ。
「落ち着け。殺るのはあとだろ」
 レイスとセンドールの間で、止める立場が逆転した。
「文句あるの?」
「どうしたものですかねーどうぞ」
 しかし止めないデューが追加を準備した。
「わーいわーい」
 お皿いっぱいの黒っぽい何かに喜ぶラーラ。ここにきてあられという渋さ。なぜ黒い……?
「特注の籠でも用意するか」
「そんな面白そうなことは魔王様の専売特許ですから邪魔すると消されますよ」
「そうだなー……」
 ふと言葉を止めた三人衆。
「「「はぁ」」」
「なに大の大人が三人揃ってため息ついてんの? ストレス?」
「自覚があるのか」
「期待するだけ無駄だと思いますよ……」
「ストレスを感じてるのはこっちよこっち!!」
「誰で発散してるんだぇえ?」
「え? だって魔王がいいって言ったもん」
「……っち」
「とりあえずやっちゃいますか」
「昔同じことを考えてなぜ止めたんだったか……」
「そんなことより私をかえせーーーー!!」
「ぁあお前たち。何を騒いでいる」
「いえ魔王様。消え去った書籍の責任の所在を」
「迷子よね!」
「だまれペット」
「誰がペットだ!!」
「貴重な古代文献……というか木版と石版もあったのに……全部燃えてるってどんな炎ですか……」
「何を言っている。全部もとに戻しておいたぞ」
「は?」
 サラサラと灰になって行くように固まった三人衆は置いてラーラがツッコミます。
「なんでよ。もーえろよもえろーよって歌ったのよ!」
「よく考えたら燃やす予定の本は自室の魔導書であって書庫の本ではなかった」
「魔王様。魔王様の魔力がこめられた本を普通に燃やしたら怨念が溢れて傍に人間なんていたら消し炭になりますよ」
「ちょっとまてぇぇぇぇぇえええーーー!!」
「ぃやあ、うっかりだなぁはっはっは」
「はっはっはじゃねぇわぁあ!!!」
「ラーラ、蹴るのは止めなさい」
「イヤ」
「空になった皿を投げつけるのも止めなさい」
「死ぬところだったわーーー!!!」
「だから間違えたと言っているだろう」
「そういう問題じゃねぇーー!! 私を帰せーー」
「まだ講義の途中ですよ」
「なんだ? 邪魔したか?」
「いえ……」
 諸悪の根源(そのに)に何も言えない三人衆。
「まぁいい。ぁあラーラ。今度は自室の魔導書を」
「行かない」
「なんだ即答か?」
「殺す気かぁ!!!」
「別にそのくらい。守ってやるぞ。そうだ、巨大な鳥かご」
「ふざけんなぁぁぁあああーーー!!」
「「「み、耳が……」」」
「まだ何も言ってないが」
「うっさいこの諸悪の根源!!」
「じゃぁひとりで燃やすか」
「そうよ!! さっさとしなさいよ!!」
「そうだな」
 魔王様。瞬間移動。間。何かを察した三人衆。耳を塞ぎます。
「私を帰してからにしろーーー!!」
「今から行けとか言っといて」
「言ってないし!!」
「まぁまぁ。さぁペッ……ええとラーラ。続けますよ」
「私はラーラじゃねぇっぇぇっっえ!」
「久しぶりですねそのくだり」
「五分おとなしくしたら揚げ餅が出てきますよ」
「はい先生!」
 びしっと手を伸ばしたラーラ。
「……最初からこの手段でいけよ……」
 レイスがうなだれた。このテキトーが売りのレイスをここまで脱力させるのもラーラだけ。←語尾にハートマークの勢いで。
「まさか」
 センドールは衝撃を受けている。
「いいから続けてください。五分がもったいないですよ」
 デューは何かを諦めたのか、冷静だった。
 ちなみに揚げ餅(黒)はラーラのおやつのためにピア特製(なので実はご褒美は関係ない)だ。
 机、イス、黒板に白、黄色、赤いチョークをセット。黒板消しを叩くデュー。イスに腰掛けてなんだか置いてあったノートを開くラーラ。バァンと教壇の教卓の前に立ってセンドールが咳ばらい。
「でははじめます」
「はい先生! よろしくお願いします!!」
 ハキハキととってもいい返事で答えるラーラ。隣にデューとレイスが机とイスを準備して座ります。センドールはもう一度息を吸って、用意万全。

「いいですか。魔界と言うものはですね。魔王様のものなのです。以上」

「前フリが長すぎるわぁぁぁぁーーーー!!!」


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