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続 それは恐怖か殺戮かと悩んでも意味がない


 さて必要もなさそうですが前回のおさらいをするとお嬢様で遊び隊発足記念二十キロ肝試しに強制参加させられたラーラが魔王様とはぐれた所ですね。被害総額? さぁまだ終わっていませんから。


「ところでお前達」
「驚きましたよ魔王様。ラーラは一緒じゃないんですか?」
「はぐれた。これだからペットは目を離すとすぐにいなくなる」
「この場合目を離したほうが悪いんですか?」
「勝手に消えたほうが悪いだろ」
「まだ戻ってないのか」
 若干残念そうに魔王様。ため息です。この憂いを帯びた表情だけ切り取って写真にして売れば儲かるでしょうね〜あ、メイドが向こうでものすごい勢いで何かを書きはじめました。次のCMに使うのでしょうか。
「あのいちおう言っておきますが魔王様。肝試しは第三ルートが一番怖いんですよ」
 レイス、ラーラにして見れば優しいんだかよくわからない解説。
「なんと。これでは驚くラーラでからかって遊べないじゃないか」
「脅かしてくればいいんじゃないですか?」
 素敵なデューの一言に、魔王様の姿が消えました。
「あら〜魔王様にお茶を〜」
「それよりラーラに与える菓子でも準備してください」
「もうバッチリ〜」


「きゃーーー!!?」
 とりあえずデフォルトで主人公がよく叫ぶ話ではありますが、ここまで危機迫る悲鳴を聞くのははじめてです。ええ。誰でも身の危険を感じれば態度も変わるといったものですよね。ちなみに今は……ええと牙を向く狼に似た動物の作り物(と思った)に噛み付かれそうになった所です。その先にはヴァンパイヤらしきものが美女の首筋に噛み付く……どころか首を噛み切りそうな勢いのオブジェと、「ーーー!!」となんだか形容しがたい効果音。悲鳴のようですが、唸り声にも聞こえます。
「いやーーーーー!!!」
 いつもより(当社比)でよく叫ぶ主人公。リアルにそろそろ疲れないものでしょうか?
 そんな悲鳴に驚いて、羽を畳んで眠っていれば蝙蝠に似た何かが一斉に飛び立ちました。ラーラの周りをスレスレに羽音を響かせる小動物。
 ※注 周りは暗闇に、ぼんやりとろうそくが揺らめきます。
「なんなのよーーーー!!?」
 腕を振り回すラーラ。それがいけない。ワシッと、一匹が手の平に飛び込んできて反射的に掴みました。むにっと、冷え冷えとつめたーい空気が漂う中生暖かい動物を掴み、反射的に力が入ります。もちろん動物は抵抗します。その体毛がすれる感触。ぞわわと、背筋が粟立ちます。
「ぎゃーーーーー!!?」
 さて、彼女はずっとパニック状態です。とりあえず手に取った何かは迷わず地面にたたき付け暗闇を目的地もわからず走り出すなんてことは出来ず早足で進みます。看板があっているかどうかこちらでも把握していないのですが。いつも通りですね。
「ぁあもうむりーむりだからー」
 こんな怯えた(一応)女の子。脅かしがいが……
がたんっ
「きゃーーー!?」
 音だけのようです。
ばぁん!!
「ぎゃーー!?」
 上から魔界人がびろーんと現れました。もちろんぐーで殴ります。良い子は真似しちゃ(二回目のため強制終了)
きぃ……きぃ……
 意味深に揺れる扉。何か出てきそうですね〜脅かされそうですね〜心配しながら実はその先で何か……みたいな展開ですかねー
「……」
 立ち止まっていても冷えていく空気にうしろから驚かされないとも限りませんし。まして振り返れませんよね。
「だ、だれかーいませんかーま、魔王とか」
「なんだ」
「ぃやぁぁぁぁあーーーーーー!!?」
 耳元で低音で囁かれて飛び上がったラーラ。デフォルトの拳を振り上げますが阻まれます。
「ラーラ。これではセットが壊れるだろう」
 あのゆれてる扉とか。
「使いまわすなーー!!」
 そういう問題じゃないような気がしますが彼女には聞こえませんね。
 さて魔王様うしろからこっそりあとをつけてここぞとがかりに驚かすつもりが呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん! みたいな状態です。
「じゃぁ帰るか」
「いやぁーーーー!? 置いてかないでーー!!!」
「何をしているラーラずいぶん素直だな。出口はこっちだぞ」
「先行ってよ」
「な」
「いいから進めーーー!!」
 説明は省きます。
 そんな二人が騒ぐ中、ゆらりと気配が動きます。立ち上る白い煙。流れる風。静かに、地なり。次の瞬間。
ドゴーーーン!!!
「わぁああああーーーー!!?」
 うしろに突如現れた火山が噴火です。
 この脈絡と統一感のなさ。そろそろ寒いからあっためようかなーみたいな。ちなみに無視して魔王様は進みます。
「かかかか勝手に行くなぁーーー!!」
「ラーラが先に進めと言ったんだろう」
「おちょくるなぁーーー!?」


「第三ルートには確か火山があったよな」

『わぁああああーーーー!!?』

「今噴火しましたよ」
「変わりませんねぇ」
「後半組はマグマに流されるんだよな」
「ああ噴火に驚けるのは前半組の特権ですね」


 さて、命名マグマゾーンを通り抜けて。沼地(そのいち)にやってまいりました魔王様とペット。
むにっ ぐしゃ
 何か踏みました。
 何よどうせゾンビ(ドM)でしょうもう二番煎じじゃ驚かないんだっ
「くびーーー!!?」
 生首+骸骨のダブルコンボでした。歩くたびに通常足蹴にすることはない何かを踏み潰し、足元で粉々に砕け散る様がよくわかります。すでに息がないものをさらに痛め付ける……
「わーーわーーーわーーぁああああーーー!!?」
 しかし逃げ道はありません。どこへ行っても首と骸骨。
「やぁぁぁああーー」
 とにかく必死で魔王様の背中をたたき付けて先に進むことを促すラーラ。魔王様ちょっといらだったのでゆっくり進みます。
ズボッ
 永遠かとラーラに思われる首&骸骨を通り抜け、まぁ足元が直視できないラーラが次に進んだ先。足が沈みました。ちなみに、沼地(そのに)の下にはスタンバイおーけーの河童らしき何か。足を引っ張ります。冷たい水に浸かる足。ヌルッとした何かに捕まれた足首。
「ぎゃぁぁぁあああーーーー!?」
 叫びつつ、いつも通り足蹴にするラーラ。ああこんな時のためにいつも足に縋り付く何かを足蹴にしているんですね。練習はバッチリですよ。バシャバシャと水が跳ねます。河童もどきがんばります。
「ああああーーー!!?」
 懇親の力で振り払ったラーラ。息荒く水上に上がります。
「いいいいまなにかー」
「全員完膚なきまでに踏み潰しておいて何を言うつもりだ?」
「もう帰るーーー!!!」
 けっこう泣いてます。
「まだゴールじゃないぞ」
「いやだーーー!! 帰るーーー!!?」
 けっこうきてますラーラ。
「まぁまぁ。ほら、そこにお友達が」
「?」
 いつもより弱っているため素直なラーラ。目の前には半分透けた半透明の物体X。がふよふよしています。
 ぷっちーーんと、何かが切れました。
「いやぁぁぁあああーーーおばけーーーー!!?」
 家事場の馬鹿力なみに魔王様を吹っ飛ばしたラーラ。先へ進みます。ふと見上げたその先には出口かと見紛うほど輝かしい光がーー
「きゃーーー!!? ぎゃーーー!!?」
どしーん!
 一応出口で、設置してあった落とし穴に落ちたラーラ。叫び声はブラックアウトで消えてゆきます。


 叫び声は聞こえていたので近づいて来るのはわかっていた三人衆。しかし落とし穴に落ちるのは予想外だったみたいです。目が点です。
「またペットが消えたぞ」
 遅れて出てきた魔王様が問い掛けます。
「あそこに落ちましたよ」
「あんなバレバレの落とし穴に誰が落ちたって?」
 そうなのです。確かに周りは暗いですが落とし穴は隠していないのでバレバレです。まぁおばけから逃げるのに必死なラーラには関係ありませんが。
「ラーラです」
「ペットに芸を仕込んだ覚えはないのだが」
「覚えたんじゃないですか」
 さすがペットと、魔界三人衆が力一杯頷きます。
「あの〜魔王様〜お嬢様ーはいずこへ?」
 場を離れていたメイド。魔王の姿があるのにいないのは変だと疑問です。
「あそこに落ちたらしい」
「ぇえ!? ……くすっ……大変ですわ〜!!」
「今笑いましたよ」
「そうだな」
「最近策士ですよね」
「私生活よりお嬢様命らしいですよ」
「顔は悪くないのにどこか残念だな」
「そう言えば地獄ろくろく温泉で前に彼女とはぐれたどうしてくれるんだって検討違いな主張をしてきた男がいたって兄がこぼしていましたが」
 にこりと振り返った侍女が一言。
「関係ありませんわ」


おわっちゃぇw
サブタイトル『主人公は放置プレイw』

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