■ 嘆きの神と姫の剣 ■


 なぜ、こうなったのだろう。

 赤い、赤い。目の前も、すべてが。

 どうして、こうなったのだろう。

 冷たい手、握る金属。手から離れて、耳障りな音が立つ。

 わからない。

 ――レリア!

 呼び声に答えよう。もうすぐ行くから、待っていて――


 のちの歴史は語るだろう。彼女とその国の話を。――そう、国を救った彼女と、救われた国のお話。
 だけど、本当に彼女はそれを望んでいたのだろうか。国は救いを求めていたのか。
 歴史は、心を語ってはくれない。



「お前だけなんだよ、レディリアーラ」
 廃退した国の王。

「誰も同じではないか、私を利用している」
 身に剣を宿す姫。

「きっと、一緒よ。待っているから!」
 騎士に恋した娘。

「守るさ、雇われた期限が切れるまでは」
 期限付きの騎士。

「結局、人は定めも運命も変えられないの」
 嘆きの神セテア。


 歴史は心を、伝えはしない。
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