Short Selection 2010
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勢いで書き出すも、続かなくなった or 完結作品。超ショートからいろいろ
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メイオウ界大神界魔術界

ぴしゃーん! ゴロゴロゴロ……
「ぅわーすごい雨」
ビッシャァーン!
「どっかおちたんでないー?」
ドゴゴーン!!
「……何か変ね」
 ただの大雨と言うには……荒々しい。
「ま、寝よ」

 ごそごそと寝巻きに着替え、寝台に横になる。
ドーン!!
「………」
 ぴりっと、寝台に横になっていたはずの女性に緊張が走った。
「……なんて事」
 続いた言葉は、雨の中走りだしたために風に飛ばされた。



「今日こそ死ね!!」
「それは貴様だ」
「んだとこら!」
「消えろ」
 降り止まない雨と雷、風が荒れ狂う空。暗闇。空の端が光ったと思うと、小さな影が見えた。目を凝らしても、人の目には映らないくらい小さな影は、だんだんと地に近づいてくる。おちてくる。もみ合い罵(ののし)りあいながら落ちてくる影から、二つの声が聞こえる。
「冥界の燃えよく漆黒の炎よ」
「大神の加護を受けし零下の女神よ」
 もう、目の前は地面。
「消し炭とかせ!」
「凍りつかせろ!」
ドゴォーン!!
 御互いに放った術は反発しあい、あろう事か大地に穴をあけた。はらりと、白い花と木の枝が、草が散る。
「この死に底ないが!」
「どっちが!」
ダァン!
 二人は地に立ち上がり、にらみ合う。踏み潰した地面に、足あとが残る。一人は黒い髪に緑の目、一人は金の髪に青の目。
「時間を止めろ冥界の青氷河!」
「女神となりたる聖歌の乙女よ!」
「凍らせ大地!」
「歌え呼び声!」

「捕らえよ。茨の鎖」

「「なっ」」
 にらみ合う二人が驚くのも無理はない。細く長い茨には鋭い棘がはえ、二人の足を捉え身体に絡みつき拘束する。身の自由を奪われて離れて詠唱をしていた男達が慌てふためく。
「燃やせ冥界のほの……」
「引きちぎれ刃を持つ神、刃……」

「締め上げろ」

「うわ!」
「ぐっ」
「あんた達、」
 ずしゃっと、ぬかるむ地を踏んで表れたのは、眠ろうとしていた女。薄着のまま走ってきたらしく、寒そうだ。だが、本人はそんなこと気にかけないくらい熱く怒り狂っていた。
「よくも、」
 ぎろりと、茨で締め上げた二人を睨む。
「よくも庭に穴をあけてくれたわね……」
「庭……?」
「は? 何言ってんだ?」
 その目がぬれていたのは、本当に吹き付ける雨のせいだったのか。女は茶色の目と髪を雨にさらしていた。
「なんだ……」
「え?」
 その鬼気迫る希薄に押されて、男二人が黙る。

「力よ集まれ、我の手に。その力を持って、彼らに制裁を。その姿を変えろ! チェンジング!」
「うげっ!?」「ぐっ!?」
 眩い光と、うめくような声。男二人が身体に異変を感じ、それが収まると……
「ほほほっ、いい気味」
「にゃ゛!?」「くるっ!?」
 茨に捕らえられていた二人の影は、黒い猫と白い鳥になっていた。
「一生、そうしてるといいわ!」
 高らかに言い放った女の声が自身に満ち溢れていたのは、その一時だけだった。
 

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