Short Selection 2010
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勢いで書き出すも、続かなくなった or 完結作品。超ショートからいろいろ
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私の寿命はあと半年

 私の寿命はあと半年――らしい。
 正確には、生きることを許された時間は、ということになる。
 なんで私が、他人にあと半年は生きることを許されないといけないのよ。




 ハジマリは唐突に

「は?」
 あまりの突拍子のなさに、聞き返した。隣で、母と父が呆然としかし猛然と抗議をした。耳に痛い。
 さぁ、現実逃避を始めよう。ああおいしいこの紅茶。高い天井、長いテーブル。足まで装飾された椅子。花瓶の花。壁の絵はさっぱりわからず。回りには給仕の人たち。
 馬車で連れてこられ。洋服まで取り揃えられた。
「落ち着いてください」
「ふざけるな!」
 本当よ。
 突然の手紙に、使者、それにこの異様なもてなしよう。何かあっておかしくないと思うし、むしろ疑う。
 好意的でむしろ怪しい男とお食事会。食事はおいしいし、このデザートもおいしいし。
 で、なんだって?
「お嬢様には、生贄になってもらいます」
 ふざけんな。


 それからあとの事は、あっという間すぎて何がなんだかわからなかった。
 大騒ぎしたのは父で、泣き崩れたのは母だった。
 広い部屋を与えられて、数人の男性を紹介された。
「なんですか?」
「護衛です」
 意味がわからない。
「……半年後に殺す女が、先に死んだら困るって?」
 だってそうでしょう。神殿長(あなた)が、私を生贄にすると言ったんでしょう。それが神のお告げだと。
 ――自殺してやる。



 例の護衛というのは、いやみなくらい優秀だった。
「あんた達、ばかじゃないの」
「仕事ですから」
「そんなに私の事を殺したいのね」
 どこの殺し文句だ。
 部屋の端を埋めるのは女性。これは監視で、武力行使は外だ。
 なんかもう、かまっていられない。
 なんで死のうとしても死ねないのに。半年後に殺されるのか。
「あーーもう!」
 テーブルの上に用意されていた朝食を薙ぎ払った。
 すぐに、次が用意される。
 なんどでも、できる。
 なんどでも、なんどでも。
「バカじゃないの!!!」
 もう、涙も出ないわ。
 

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