Short Selection 2010
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勢いで書き出すも、続かなくなった or 完結作品。超ショートからいろいろ
i n d e x
心が軋む

 心が軋む。締め付けられるように、痛い。
「連れて行け」
 最後に絞り出した、彼の言葉。
 泣き出しそうなのは、彼のほうだった。




 My Dear Good By.
 愛しいあなたに別れの歌を。



 最初からそのつもりだったの。
 最初からそうするつもりだったの。
 最初から、最初から――あなたを、裏切ろうと思ったの。
 裏切るには味方にならないといけないと、どこかの本に書いてあったわ。


「あなたは」
 すれ違う途中で、押し殺したような言葉が聞こえてきた。
 怒りと憎しみでいっぱい。そして、いちるの期待を。
「よろしく」
「あなたに、言われることじゃありません」
 ふっと、笑った。ぁあ大丈夫だと、安堵する。
「そうやって、安心できるとでも」
 突きつけられた言葉が、突き刺さる。――痛いよ。
 曇る表情に、言葉が凍りつく。
 殴られたほうが、まし。
「代償は、背負ってもらいます」
 罵られるなんて、甘えていた。
「どうして?」
 疑問に、答える声はなかった。促されて、歩き出す。

「だって、彼の心からあなたが消えるわけないのに……」
 背中に向かって呟かれた言葉は、聞こえはしなかった。
 

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