Short Selection 2010
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勢いで書き出すも、続かなくなった or 完結作品。超ショートからいろいろ
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魔術師の弟子

「あのう、お師匠様」
「なによ」
「その、あの……」
 目の前の女性は、何かを言う時にはっきりしないのを死ぬほど嫌っている。
「えと、なべの中身はいったい……」
「聞きたい?」
「遠慮します」
 その顔が上から見下すようで、嘲(あざけ)るそうで、楽しげに笑うから。
「どうして?」
 赤い唇がつりあがる。朝取りの真っ赤なバラの花を思い出す。あの苦しむぐらい匂い立つバラの香りを。
「いえ、私如きが聞く事ではないかと……」
 こういう時に後悔する。自分の考えのなさを。
 

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