「ユーカ!」
 今でも思い出す。手に入らないと思えば思うほど、諦めようとすればするほどその笑顔が恋しくて。
 そして、手にれた時の喜び。
 最初は友情だった。しかし今は――ただの外交だ。
 王という椅子を手に入れたかつての友に送る視線には、感情をこめない。
 ただその目の中に少し――かつての悲しみの色を見つけてしまった。

「ただいま、ユーカ」
「ラティ? 大袈裟ね」
 背後からその背を抱きしめて、温もりを感じる。回された手、額、髪、所狭しと唇を寄せていると、抗いはじめた。
「ラティっ」
「ごめん。でも君がかわいいのがいけないんだよ」
「……塩塗り込みたいわ」
 そんなエステがあったかもと、どこか遠い記憶を思い返すユーカの姿。邪魔をする。
「ラティ!」
「ユーカ。僕は疲れているんだけど」
「悪かったわ」
「だからユーカが癒して」
「それも嫌」
「えー」


 クロイ、君とはいい友情関係を築きたかったけど、もういらないよ。僕には、ユーカがいるから。
 君の瞳に映る灰色が黒に変わって行くのが見えるよ。けれどそれが――君の選んだ道である以上、僕は知らない。


モドル