『肩書のない娘に対する態度じゃないわ』
 自虐的な言葉に返す言葉を探した一瞬で、彼女は違う人間に呼ばれて行った。
 どこかなじまない。
 時が経てば変わるだろうかと考える。彼女が、クロツィアでクライ王子に愛されたという事実も。

 はじめは、我が主も喜んでいたのだ。ただ底に沈むだけだった友人の変化に。それが、羨望から嫉みに変わったのはいつだったのだろう。
 それよりも、元から、それは嫉みだったのだろうか。
 いつの間にか、溝が見えた。それはおそらく、交わることのない温度の差。
 それでも主は、友情を重んじていたと思っていた。

 あの日までは。


モドル