私の、自由




“自由”に、なりたいとは思わないか―――



 例え、囚われようとも。




 窓には、格子。厚い壁。低い天井。粗末な寝台。唯一の扉には、外から、いくつもの鍵がかかっていた。

 ――――少女は、椅子に座って。

 もう、何度見たのかわからない窓の外を見ていた。

 外で、ガチャガチャと鍵を鳴らす音。

 少女は、振り返りもしなかった。

「――――“自由”に、なりたいとは思わないのか」
 入ってきた男が言う。

「貴方の言う、“自由”とはなんですか?」
 少女は問う。

「この窓を越えて外に羽ばたける、“自由”の翼?」
「………」

「今ここで、貴方を殺す事の出来る力?一人で、地を歩くことの出来る“自由”の足?じゃらじゃらと音をなす鎖を断ち切る鍵?一人で、大空の下を舞える“自由”?」

「……。」

「貴方の思う“自由”と、私の自由は違う。」
 少女は、振り返って言った。
 凛とした、声だった。恐れなど、微塵(みじん)も感じない。

「いくら、この身が縛られようとも。」
 手と、足、首の枷(かせ)。

「私の心は、どこへも行ける。なんだって出来る。――――それが、自由」

「………」

「他には?」

「………。」

 黙りこんだ男を見て、少女はまた前を向く。

 ―――手を伸ばし、窓を開ける事も叶わない。
 地を歩く事も出来ない。

 ―――それでも、私は。

「私は、自由です」

「〜〜〜〜」

バン!!
 大きな音を立てて、男は部屋の外へ出た。

 ―――毎日、やってきては問う。

 妾になれと。


 この身は、自由ではないのだから。
 もう、私のものではないのだから。

 ――――好きにすればいいと思う。

 この身を引いて、引きずり回されようとも。


 私は、空だって飛べるし、ここを、出て行くことも出来る。

 どこへも行ける、なんだって、出来る―――




Free Will